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電気代は3か月先にどうなる?
大手10社の燃料費調整額を式のとおり先読み。2026年11月分まで確定、2027年3月分まで見立て

2026年11月
貿易統計が出ていて単価が確定している最後の月分
2社↓ 5社↑
2027年3月分の燃料費調整(補助込み)が2026年11月分より
+0.0円/kWh
国の補助が2026年10月使用分で終わる影響(全社共通)
4.18円/kWh
再エネ賦課金(2026年5月分〜2027年4月分は定額・全社共通)
±0.11円/kWh
ドル円が5円動いたときの2027年3月分の燃調の動き(10社の中央値・最大は東北電力の±0.33)
⚡ 家庭の電気代のうち毎月・毎年動く部分は「燃料費調整額」「再エネ賦課金」「国の補助金」の3つで、基本料金と電力量料金は改定(認可)が無い限り動きません。影響の大きさは、いまは補助金の終了(+0.0円/kWh)>燃料費調整の動き>賦課金(年度内は定額)の順です。このページは3つを足した「変動部分の合計」を10社ぶん出し、燃料費調整には貿易統計の3か月平均を2か月遅れで乗せる決まった式に公表値と出典を明示した見立てを入れています。為替で燃調がどれだけ動くかの感応度と、物価の見通し(日銀・ESP)は参考として下に置きました。

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10社の燃料費調整単価と変動部分の合計(円/kWh・税込・従量電灯)

「確定」は貿易統計が出ている月の計算結果で、各社の発表と一致するはずの値です。「見立て」は貿易統計がまだ出ていない月の燃料価格に、下の見立てを入れたもの。「為替±5円」はドル円が5円動いたときに2027年3月分の燃調がいくら動くか。右端の「変動部分の合計」は 燃料費調整 + 再エネ賦課金(4.18円) − 国の補助 で、2026年11月分と2027年3月分の値と、その差が月260kWhの家庭でいくらになるかです。

電力会社2026年11月分2026年12月分見立て2027年1月分見立て2027年2月分見立て2027年3月分見立て燃調だけの差為替±5円変動部分の合計
燃調+賦課金−補助
北海道電力
従量電灯B
-4.57確定 -4.64-4.95-4.98-4.98 ↓ −0.41円 ±0.15 -0.39 → -0.80
−0.41円/260kWhで−107円/月
東北電力
従量電灯B
-9.45確定 -8.76-8.64-8.58-8.52 ↑ +0.93円 ±0.33 -5.27 → -4.34
+0.93円/260kWhで+242円/月
東京電力EP
従量電灯B
-5.34確定 -4.65-4.39-4.32-4.26 ↑ +1.08円 ±0.27 -1.16 → -0.08
+1.08円/260kWhで+281円/月
中部電力ミライズ
従量電灯B
4.26確定 5.345.36上限5.36上限5.36上限 ↑ +1.10円 0.00
上限で動かず
8.44 → 9.54
+1.10円/260kWhで+286円/月
北陸電力
従量電灯B
-6.19確定 -6.09-6.14-6.14-6.14 ↑ +0.05円 ±0.07 -2.01 → -1.96
+0.05円/260kWhで+13円/月
関西電力
従量電灯A上限に到達中
2.24確定 2.24上限2.24上限2.24上限2.24上限 → +0.00円 0.00
上限で動かず
6.42 → 6.42
+0.00円/260kWhで+0円/月
中国電力
従量電灯A
-7.78確定 -7.59-7.63-7.61-7.61 ↑ +0.17円 ±0.11 -3.60 → -3.43
+0.17円/260kWhで+44円/月
四国電力
従量電灯A
-5.24確定 -5.19-5.31-5.33-5.33 ↓ −0.09円 ±0.09 -1.06 → -1.15
−0.09円/260kWhで−23円/月
九州電力
従量電灯B上限に到達中
1.86確定 1.86上限1.86上限1.86上限1.86上限 → +0.00円 0.00
上限で動かず
6.04 → 6.04
+0.00円/260kWhで+0円/月
沖縄電力
従量電灯
-10.07確定 -9.58-9.47-9.42-9.39 ↑ +0.68円 ±0.19 -5.89 → -5.21
+0.68円/260kWhで+177円/月

単価は各社の規制料金(従量電灯)の燃料費調整単価。「上限」は平均燃料価格が基準の1.5倍を超えて頭打ちになっている状態で、その間は燃料が上がっても単価は動かず、下がると上限を割った時点で初めて下がり始める。自由料金プランには上限が無い。

入力にした燃料価格(貿易統計の月次)

貿易統計の月原油(円/kL)LNG(円/t)一般炭(円/t)区分
2026年6月117,68092,10023,200実績
2026年7月116,380109,33024,210実績
2026年8月102,690117,87023,860実績
2026年9月92,557121,17223,860見立て
2026年7月積み: ドバイ76.70(World Bank月次)+OSP+9.5+較正+7.60=93.80$/bbl ×156.9円×6.29
LNG: 回帰: 0.0153×ドバイ(2026年6月 77.7) + 0.2018×TTF(今日 30.85) + 8.53 = 15.95$/MMBtu ×48.4×156.9円
一般炭: 直近月(2026年8月)の23,860円/tで横置き
2026年10月84,663121,05623,860見立て
2026年8月積み: ドバイ79.70(World Bank月次)+OSP-1.5+較正+7.60=85.80$/bbl ×156.9円×6.29
LNG: 回帰: 0.0153×ドバイ(2026年7月 76.7) + 0.2018×TTF(今日 30.85) + 8.53 = 15.93$/MMBtu ×48.4×156.9円
一般炭: 直近月(2026年8月)の23,860円/tで横置き
2026年11月97,590121,40423,860見立て
2026年9月積み: ドバイ93.30(World Bank月次)+OSP-2+較正+7.60=98.90$/bbl ×156.9円×6.29
LNG: 回帰: 0.0153×ドバイ(2026年8月 79.7) + 0.2018×TTF(今日 30.85) + 8.53 = 15.98$/MMBtu ×48.4×156.9円
一般炭: 直近月(2026年8月)の23,860円/tで横置き
2026年12月91,106122,98323,860見立て
2026年10月積み: ドバイ86.73(推定ドバイ(今日のブレント−直近月スプレッド))+OSP-2+較正+7.60=92.33$/bbl ×156.9円×6.29
LNG: 回帰: 0.0153×ドバイ(2026年9月 93.3) + 0.2018×TTF(今日 30.85) + 8.53 = 16.19$/MMBtu ×48.4×156.9円
一般炭: 直近月(2026年8月)の23,860円/tで横置き

見立ての作り方(そのまま検算できます)

再エネ賦課金 — 2027年4月分まで4.18円/kWhで定額、来年度の方向は卸市場の値段で決まる

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、経済産業大臣が毎年3月に1本の式で決め、5月検針分から翌年4月検針分まで全国一律・定額です。2026年度分は2026-03-19に4.18円/kWhと決まり(前年度3.98円)、次に決まるのは2027年3月(2027年度分)。つまりこのページの見立ての範囲では賦課金は動きません。

賦課金単価 = (買取費用等 − 回避可能費用等 + 広域機関の事務費) ÷ 販売電力量
経産省の算定根拠2025年度の想定2026年度の想定中身
(1) 買取費用等4.85兆円4.85兆円FIT/FIPで買い取る費用+再エネの予測誤差のための調整力の費用。設備が増えるほど増える
(2) 回避可能費用等1.79兆円1.65兆円買い取った電気を卸市場(JEPX)の値段で評価した額。市場価格が高い年ほど大きくなり、賦課金を押し下げる
(3) 販売電力量7,708億kWh7,665億kWh割る側。節電が進むほど1kWhあたりは重くなる
単価 ((1)−(2))÷(3)3.98円4.18円32,012億円 ÷ 7,665億kWh = 4.18円(事務費・減免分の丸めで公表値と数銭ずれる)

推移 — 2023年度の急落が「燃料高→市場価格高→賦課金安」の実例

201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026
0.220.350.751.582.252.642.902.952.983.363.451.403.493.984.18

円/kWh。2022年度の燃料高騰で卸市場価格が跳ね、2023年度の回避可能費用が膨らんで賦課金は3.45円→1.40円に下がった。見込みと実績の差は翌々年度の単価で精算される。

来年度(2027年度)の方向の目安 — 卸市場の今年度平均は前年度より高い

JEPXスポット システムプライス年度平均(円/kWh)期間
2024年度12.302024年4月〜2025年3月の12か月
2025年度11.052025年4月〜2026年3月の12か月
2026年度(途中まで)17.432026年4月〜2026年10月の7か月

回避可能費用は市場価格に連動するので、今年度の平均(17.43円)が前年度(11.05円)の1.58倍のまま年度末まで進めば、来年度の算定では回避可能費用が押し上げられ、賦課金は下がる方向に働きます。大きさの目安として、買取費用と販売電力量を2026年度の想定のまま、回避可能費用だけ市場価格に比例して動くと置くと −1.65兆円 × (1.58 − 1) ÷ 7,665億kWh = −1.24円/kWh、つまり4.18円 → 2.94円前後です。これは方向の目安であって予測ではありません。買取費用は設備の積み上がりで2030年ごろまで増え続けること、経産省が算定に使う市場価格の取り方(過去の実績の踏まえ方)が公表されていないこと、2026年度の見込みと実績の差は2028年度に精算されることから、実際の数字は2027年3月(2027年度分)の公表を待つ必要があります。

為替感応度 — ドル円が5円動くと燃料費調整はいくら動くか

見立ての月の燃料価格は「ドル建ての値段 × ドル円」で作っているので、為替だけを5円動かして式を通し直すと、各社の燃調単価がどれだけ動くかが機械的に出ます(いまのドル円 156.9円。貿易統計が出ている実績の月は動きません)。利上げや介入で円高に振れたとき、あるいは円安が進んだときに、燃調にどれだけ効くかの目安です。上限に張り付いている会社は為替が動いても単価が変わりません。

電力会社2027年3月分(いまの為替)円安 +5円円高 −5円動く幅月260kWhで
北海道電力-4.98-4.83-5.14±0.15±39円
東北電力-8.52-8.19-8.88±0.33±86円
東京電力EP-4.26-3.99-4.54±0.27±70円
中部電力ミライズ5.365.365.360(上限)±0円
北陸電力-6.14-6.07-6.20±0.07±18円
関西電力2.242.242.240(上限)±0円
中国電力-7.61-7.50-7.72±0.11±29円
四国電力-5.33-5.24-5.41±0.09±23円
九州電力1.861.861.860(上限)±0円
沖縄電力-9.39-9.20-9.55±0.19±49円

円/kWh。動く幅が会社で違うのは、原油・LNG・石炭の重み(α β γ)と基準単価が違うため。見立ての月分は貿易統計がまだ出ていない月の燃料価格をドル建てで作っているので、為替の効きは「見立てに含まれる月の数」にも依存し、2027年3月分が最も為替に感応する。

物価の見通し(参考) — 電気代の構成要素ではありません

電気代に「インフレ率」が直接乗る項目はありません。物価が電気代に入ってくる経路は、①送配電の託送料金(レベニューキャップで2023〜2027年度分は固定済み、次の改定は2028年度)、②規制料金の改定(経産省の認可が要り、直近の大きな改定は2023年6月)、③為替を通じた燃料費調整(上の為替感応度)の3つで、①②はこのページの見立ての範囲(数か月先)には効きません。以下は「電気代以外の物価がどう見られているか」の参考値で、掛け算には使っていません。

消費者物価(生鮮食品を除く総合・前年比%)2026年度2027年度2028年度出典
日本銀行 政策委員見通しの中央値+2.5
+2.3〜+2.7
+2.4
+2.2〜+2.5
+2.0
+2.0〜+2.2
経済・物価情勢の展望(2026年7月)(2026-07-31)
ESPフォーキャスト(民間37機関の平均)+2.25+1.30+1.91ESPフォーキャスト調査 2026年10月(2026-10-14)

2026年度は政府の電気・ガス料金支援の影響で前回(4月)の2.8%から下方修正。次回は10月末。10月調査(回答期間9/30〜10/7・37名)は回答者全員が2027年度以降に食料品の消費税減税(2027年4月〜)を織り込んだ値。2027年度は前月1.31%→1.30%。2028年度は特別調査(高位平均2.26%・低位平均1.43%)。毎月10日前後に更新。実質GDP(日銀中央値)は2026年度 +0.6%、2027年度 +0.8%、2028年度 +0.8%。

会社ごとの詳しい内訳

県ごとの電気代のページ(都道府県ランキングから)にも、その県を管轄する電力会社の先読みを載せています。

出典: 財務省貿易統計(原油・LNG・一般炭の通関CIF月次、新電力ネットの統計ページ経由・取得2026-10-26)、各電力会社の燃料費調整制度ページと月次お知らせ(各社ページに記載)、World Bank Commodity Price Data(ドバイ月次)、サウジアラムコOSPの報道(BOE Report ほか)、資源エネルギー庁・各社の電気・ガス料金支援、経済産業省 2026年度の賦課金単価の決定(算定根拠)、JEPX スポット市場 月平均(取得2026-10-26)、日本銀行 経済・物価情勢の展望(2026年7月)、日本経済研究センター ESPフォーキャスト調査 2026年10月。 運び賃・原油の推定は姉妹サイトウカイロ(迂回コスト計算機)の値。

これは予測ではなく、公表された式に公表値と明示した見立てを入れた計算です。実際の単価は各社の翌月末ごろの発表で確定します。誤りは contact@hatsudenbench.com まで。最終更新 2026-10-26